さよならの向こう側。
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午後11時前。
一区切りついたシュンさんは、りんごのストックを探しに食堂までやって来ました。
「おー、シュン。まだやってたのか」
「・・・・・もう日付変わるよ」
そこでは、キースさんとサイさんがお酒を飲んでいました。
「お前も飲むか?」
何故か楽しそうにそう言って、空いているグラスを進めてくれます。
「・・・・・・・・・・絶対嫌。サイ、後は頼んだ」
「うん」
キースさんはお酒に強いので、そうではないシュンさんはいつも潰されてしまいます。
そちらはサイさんにお任せして、食糧庫をガサガサと漁りました。
「お、あったー」
山程のりんごを見つけたシュンさん。
そのひとつを手に取って、ご機嫌な様子で立ち上がりました。
「シュンさんっ」
「・・・・・っ!?」
いきなり誰かに抱きつかれ、バランスを崩してりんごの山に倒れ込んでしまいます。
「ったー・・・・・・・・・・・・・」
バラバラと、辺りにりんごが転がりました。
顔を上げると、そこにはアランチェさんです。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
いつも明るいアランチェさんが、何故か思い詰めた表情をしていました。
「アランチェ?どうし」
「好きです」
「・・・・・・えーっと・・・・・・・・・何がかな」
「あなたが」
「・・・・・あぁアランチェ、酔ってる?」
「シラフです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
どうしたらいいのか混乱しているようです。
酔っているのならまだしも、どうやら本気の様子。
そんな人を傷つけることは出来ません。
一番良い言葉をぐるぐると考えている間にも、アランチェさんは抱きついた(押し倒した)まま、近距離で見つめています。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えーっと・・・・・・・・・・アランチェ?」
「はい」
「すごく、嬉しいんだけどね」
じっと見つめるアランチェさんに、申し訳ないような表情で笑いかけます。
「・・・・・・・・・・・・・・・オレには一番愛してるひとがいるから・・・・・・・その・・・・・・・・ごめんな?」
一言ずつゆっくりとそう言って、ぽん、と彼女の赤い髪に手を乗せました。
すると、アランチェさんがニヤリと笑います。
「オッケー!キース~!」
「へ?」
パッと様子を変えて、向こうのキースさんを呼びます。
「1分12秒。結構時間かけたなシュン」
「ホントだ、最高記録」
キースさんとサイさんが、楽しそうに覗いていました。
手にはストップウォッチです。
「な、何?アランチェ?」
「ごめんねシュンさん。データ集めのご協力ありがとうございます☆」
「データ!?」
「コイツ今“告られてから結論出すまでの時間”のデータ取ってんだと。ちなみに俺らもやられた」
「俺が5秒で、キースが1秒の最短記録だよ」
「ふふ、これで集まったわっ。今から考察に入らなきゃ!じゃあお休みなさい!
」
アランチェさんは満足げにそう言って、食堂を出て行きます。
「優しいのも程々にしとかないと、いつかイタイ目遭うぞお前」
「・・・・・うーん」
「っていうか何に使うんだろうね、あのデータ」
ごめんなさい無理です
ある日曜日。
男女混合5対5のサッカー紅白戦をすることになってしまいました。
絶対無理だと逃げ回っていたのに、社長に笑顔で強制参加を告げられると断ることは出来ません。
結果声援むなしく、怪我で退場(自損事故)。
ほんと運動ダメなのに。
「・・・・・題変わってるよ。どうも、瞬です」
おや、漢字ですね。
では早速最初の質問・・・・・あ、こものさんからですよ。
「わー、ありがとう」
“結社に入ったのはいつ頃ですか”
良かったですね、質問があって。
「何その蔑んだ視線は」
いやいやまさか。
続けてください。
「えぇと確か・・・・・29、8、7、そうそう、27の時だね」
意外と短いんですか。それでよくその役職もらえましたね。
「うーん・・・・・入る前から関わりはあったし知り合いもいたんだ。ルディアもそうだね。あの人・・・・・いや、その時にはもうあの子が取締役だったな」
あの子・・・・・・・・・・?
「あぁ・・・・・クロエ、だね」
なんだか意味深な雰囲気ですが。
「そう?」
珍しく濁しますね。
「はは、今度機会があれば話すよ。ゴメンな」
わかりました。それでは次に移りたいと思います。
“シュンさんのご家族と家庭菜園が気になります”
ちあんさんより質問ですよ。
「お、ありがとうございます」
ということでお願いします。
「気になるってオレの?」
他に誰がいるんですか。
「そうだよね、うん。家族はイイよー。何だろう“帰る場所”だしね。あ、家庭菜園は趣味だよ。最近は礼文に肥料の配合とか教えてもらってさー、イチゴに挑戦してるんだ」
趣味って・・・・・会社の庭に勝手に菜園してるんですよね確か。
「え・・・・・マズかった?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「今度はさ、ビニールハウス作っちゃおうと思ってるんだよ。冬に向けて。ほらあったかいトコなら色々出来るだろ?でもオレ日曜大工?とかムリでさー、誰かいないかなって探してるんだ。いっそもうどこかの業者と交渉しちゃおうかな。マズいかな、それは流石に。でもなーやっぱりビニールハウスは欲し」
さて長くなりそうなので今回はこの辺でお別れです。
また機会(質問)がありましたらどこかでお会い致しましょう。
それでは、次回。